半年前ほどだろうか、17歳で140キロもあるヘビー級のバイトを採用した店長。
ほどなくしてストレスで休暇を長期で取り、2か月ほど前に戻って来た。
入院中にまた体重を増やしてしまい、それが膝の痛みを悪化させ、今ではじーっと立っていられない状態になっている。
動きにもやはり制限があり、これでは時給で働く私らから疑念と不満の声が出るのも仕方ない。

先日、私のアシスタントとして動いてもらったが、動ける範囲が動くべき範囲の10%ほどしか無いため、結局はそれを私がする事になる。
そうなると、もう売り場で働けるとするならば「レジ」しかなく、マネージャー(私はブログ内で店長と呼んでいるが)に「あの子にはレジしか無理でしょう。ならばレジのエキスパートに育てれば?」と言ってみたが、店長は「そんなん、ここで働く子は誰もがレジのエキスパートありきで、プラスの色々な仕事やんか!レジしか出来ない子に金を払う余裕はない!」と怒気を含んで言った。
あんたが採用してんで、せやけど・・

店長は「正直、あの子に腹が立つねん。何も出来へんし、覚えも悪い、動きがと言うよりも全てが遅い」と言った。

しかしながら、一度採用してしまった人間をクビにするのは非常に難しい。
本人が罪を犯したとか、無断で休む事が多いなどあれば言いやすいが、それも無い場合は極めて難しいのである。

私は「しかし17歳で140キロでしょう。。何か可哀想というのか、あそこに行くまでに何とかならなかったのか・・てね。寝てても起きてても苦しいんじゃないかなと思うし、だけどどうにもならないのが現状というのか・・・同級生の子達が出来る事が出来ない事も多いと思うから、そう考えると本人が一番辛いのかなと思うんですよね・・」と言った。

店長は「あそこまでなるのは依存症、もう精神疾患としか言いようがない。うちの娘も100キロ超えてるけど、(え・・店長の娘、そんなに育ってもうてたんや・・痩せる努力はしてんねん」と言った。

親として我が娘が小学校の時から明らかに同級生とは違う肥満体系になって行った事は店長も認めていたらしい。
しかし、食べる事が好きな娘に鬼の形相で「食うな」とは言えず、店長なりに食事を制限させたものの、やはり大学に上がってからは親元を離れてしまったため、100キロをあっという間に超えてしまったという。

店長は「だから親の責任やと言われれば私も耳が痛いねん。多分そうやと思う。私がもっと制限させればスリムになったかも知らんけど、3歳児の時から始まった肥満は結局のところ、積み重ねでここまで来たんやろうな・・せやから、あの子の親も悪気があってここまで放置したんじゃないとは思うけど、せやけども・・」と苦々しい表情で店長は言った。

私はイギリスに嫁いできて、この「肥満」という問題が実に深刻な問題であるかを目の当たりにした。
日本に暮らしていても、そこまでの肥満問題に出くわす事が病院で働いていても無かったからである。
しかしながら、亡き義父もそうだった。

歩けなくなるほどに肥満になった事で、義母は皆から責められ白い目で見られていた。
医者からも「あなたが何とか出来るはず。家に食べ物を置かなければよい」と何度も言われていたが、しかし義父も大人である。
食べたいものは外に行って買って食べるのである。
私は何とか義父を痩せさせようと、蒸し魚や野菜スープを中心に1年作り与えたが、しかし夜中に空腹になれば、皆が寝静まっても何かを探して食べるのである。

義母の息子の嫁もそうであるが、10代の頃から肥満であった。
ずっと痩せている女を羨ましく思いながらも痩せる事、食べる事を止める事が出来なかった。
遂に140キロになり、自分で食事制限したくない、出来ないと判断した嫁は、遂に胃を摘出する手術を受けたのである。
それでも未だ80キロを保っている。
異を摘出して尚、本来なれると予測されたの50キロ台になれない嫁は何を食べてそれを維持できているのか・・・そう考えると、食料への依存しか考えられないわけで、店長が言うように「メンタル」的な問題なのである。

嘘か真か知らんが、昔聞いた話で「アメリカでは肥満過ぎたら仕事に就けない」と聞いた事がある。
私はそれを聞いたとき、あのアメリカでそれを公言して裁判沙汰にならへんのか!?と思ったものであるが、実際に重度の肥満である人と共に働いてみて、私はそれがよく分かった。
仕事にならないからである。

食べ物が溢れる環境ゆえの肥満問題、皮肉なもんである。

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