◎前回のお話
保険がおりることも決まり、我が家の一つの事件は終わろうとしていたが
一つ終わればまた別の何かがやってくるものだ。
と言うかじわじわとやって来ていた『息子の思春期のイライラ』。
交代制の仕事と養成所と息子の行事とサッカー。
他にも習い事。
お金を稼いで割り振ってスケジュール通り動いて…
頭はパンパンだった。
16時間の夜勤は想像以上に体力を消耗して家の家事は最低限しか出来なかった。
きっとほかのお母さんはうまく出来てるんだ…
なのに自分はうまく出来ない…と落ち込むこともあった。
片付けきらない部屋ができ、あかずの間と化した。
洗濯物をためてから洗って乾ききらず部屋のカーテンレールに並ぶ。
なんとか休みが2日あれば掃除できるが、私の帰りが遅ければ息子も好き放題に散らかしていき
だんだんと片付ける気力すら無くなった。
テレビでゴミ屋敷の特集があると『やばい…うちもいつかドアからゴミが溢れる日が来るんじゃ…』と恐ろしくなった。
自分が夢のために動いている分、息子の習い事はちゃんとやらせてあげたかった。
脳と指先のトレーニングの為に続けていたピアノや家庭教師。
その為にもいろんな時間を削っても働く事を選んだが…
息子との心の距離も出来てしまっていた。
今思えばこの頃息子は学校の中でいろんなことと戦っていたんだろう。
その事は20歳になってお互いに大人として話ができるようになってから聞いた。
些細なことでケンカになる。
最初は小さなことでもどんどんお互いのストレスをぶつけ合うように怒鳴りあった。
『もうお父さんの所に行く!!』
と怒鳴ったこともあった。
ショックだった。
確かに母親としてもっとやってあげなきゃいけないことも見てあげなきゃいけないところもたくさんあったけど…
自分なりに必死だった。
そうか…。
一生懸命頑張ってるつもりだけど
全く息子の生活を支えてもいない元旦那に負けるのか…。
そうか…。
怒鳴り合うと大概お互い泣く。
お互いに意見があってお互いが必死だったんだ。
小さな亀裂は喧嘩するたび少しずつ深くなる。
息子と私はこの頃あまり話さなくなってきていた。
頑張ってもお父さんの思い出に負けてしまう自分が情けなかった。