ピンクリボンシンポジウム2017
~支えあえば、勇気が生まれる。~
有楽町朝日ホールで行われた15周年目のピンクリボンシンポジウム
聞き手は去年と同じく山口容子さんです。


~あれから1年半~
クローバー果歩さん
「去年こちらのステージに立たせていただいて1年経ちました。
私の手術日は2016年3月11日で,
色んな意味で
忘れられない日なんですけれど、
私は乳がんのステージ1が人間ドックで見つかって直ちに温存手術を受けました。
2016年の記憶は思い出そうとしても、なかなか鮮やかに蘇りません。5月に舞台が控えていて、療養できるのが一ヶ月しかなかったんです。
自分の身体にそういうことが起きたにも関わらず、かなり無理をしてしまったと思います。
その時のモチベーションというのは、
1日も早く元気な姿を見せなきゃいけない、
自分がそうしなければおさまらない、いつも元気な南果歩と、自分で自分を縛っていたところがありましたね。」


 

ーー今年の元気は去年の元気とはまた違うものでしたか?

~NHKプレミアムドラマ「定年女子」~
クローバー果歩さん
「正直言ってその手術をした後に、再発の心配などを考える余地もないくらい、五里霧中、手探りの状態で生きていたと思います。
投薬、抗がん剤治療、放射線治療が重なりまして秋くらいまで、昨年このピンクリボンシンポジウムのステージに立たせて頂いた時も、
血圧が160くらいまで上がってました。
気持ちだけが先走っていても身体は悲鳴をあげていて、なかなか思うように動けなくて意識も朦朧としていました。」

 

家でも臥せっている時間が長く、友人が声をかけてくれてもなかなか外に出る事に積極的でなかったです・・・。
今年、「定年女子」という7月~8月に放送していたドラマに出演させていただいたんですけれども、
身体的には去年より健康になったと思いますが、精神的な重荷がある時期でした。
この春から精神的な疾患が出まして、別の闘病が始まっていました。
その中でドラマをひきうけるということが確約できない、とてもやり遂げる自信がなく、一旦はお断りしたんです。
しかし脚本の田渕久美子先生やプロデューサーの方から主人公は私をイメージして膨らませていると仰っていただき、ここでこの人たちを信じることができなければ、私は一生人を信じることのできない人間になってしまうと感じ、覚悟を決めて取り組みました。」

 

ーーその覚悟が好評につながって
クローバー果歩さん
「観ていただいた方々にすごく元気になったと色んなコメントおをホームページやツイッターで言って頂いて、
私もそれで元気をいただきました。みなさんとのキャッチボールがドラマで出来たんじゃないかと思っています。」

ーー続編の噂があるそうですね?

「田渕先生は続編をと仰って下さり、実現したらありがたいなと思っています。」

ーー本当に良いドラマに出会われたんですね。

 

 

~命のリレー~

クローバー果歩さん
「小林麻央さんが乳がんでお亡くなりになりましたが、
様々な形で闘病している私たちにメッセージを、励ましの言葉を残されました。
そういう意味では、がんと言うのは命のリレーではないかと思っています。
親子関係というのは、命のリレーですよね。私にも親がいて子がいて、

そうやって命は脈々と受け継がれているんですけれど、
命って不思議なものだと思います。
病気でも命のリレーが行われていて、病気に勝つ負けるではなく、
その病気を受け入れて病気と対峙して、自分がどういう風に成長し、進化していくか、
そういうところを人として問われていると感じています。
2017年は荒波の中に小舟が翻弄されている状態でした。
それでも生きていることが大事だと思いました。


私自身は、ハーセプチンを、抗女性ホルモン剤の投薬をストップしています。
これは俗にいう代替治療に切り替えたというものなんですけれども、
私のやり方は一つのお手本ではなく、皆さんの治療に当てはまらないかもしれないけど、
一つの見本になればいいと思っています。
なぜその治療をやめたのかというと、私自身はステージ1で温存して病巣取り除き、執刀してもらった主治医と相談しながら、
いまがん細胞が体内に残っていないと言う判断からです。
明日も定期検診でエコーを受けるんですけれども、検診の前は本当にドキドキします。神にも仏様にもご先祖様にも祈る気持ちで、定期健診を受けてます。
私には仕事があり、受け入れてくれているファンがいて、長いがんとの付き合いの中で色んな気持ちが落ち込むことや、
人に言えないことや、解決に時間がかかることがあるんですけれども、

今日と言う日を過ごし、そして明日がまたやってくる。
辛い事があっても、やはり人生は面白く、

生きていること自体がそれだけで人生だって言えるんだと思います。」

 

ーーお薬をやめたんですね?

「かなりの決断、決めるまで時間がかかりました。

最終的に自分で責任を負ってやめるということなので、
勉強もしましたし、セカンドオピニオン、サードオピニオンも受けました。」

ーーがんについて沢山勉強しましたと仰ってましたね?

「今やそういう時代なんだと思います。今日の三人の先生方のお話を楽屋で聞いていて参考になることが沢山ありました。がんのタイプが20何タイプにも分類される、
一口に乳がんと言っても、いろんなタイプがあり、いろんな癖や性質がある。自分のタイプを知り状態を考えて上で、最終的に自分の判断が重要になってくる。
自分の人生なので、最終的な責任者は本人だと思います。そういう意味で自分により良い方法、いろんな専門家にご意見を伺ったり、主治医と深いところまで話をするのが大事だと思います。」


ーーそういったお話の出来るドクターとの巡り合い、良かったですね。

「治療薬をやめてサプリを飲んでいますけれども、そのサプリも主治医の先生と相談して、いろんな意見を頂いてます。」

ーー1年半、苦しい時の支えになっていたものは?

「やっぱり笑顔でいることが自分らしい。自分らしい笑顔で、

一緒にいる人も笑顔になって欲しい、
そういう意味では仕事を通じて笑顔を届けられるのはありがたいことだなと。

改めて仕事が自分の支えになっていることに気付きました。」

 

ーーCAN友という新しい言葉、いいですね。

「はい、昨年このステージで提案させていただきました。がん友という言葉は親しみにくく可愛さに欠けるので、CANSERのCAN できるのCAN
だからCAN友!今年もこの言葉を広げたいと思っています。

今日は私のCAN友である山吹祥子さん

のブレスレットをつけているんですけれど、もともとジュエリーを作っている方なんですけど、

こういうかわいいブレスをつくって検診に受けましょうというメッセージを送っている方です。
今日、会場に来てくれています。」

 

ーー同病相哀れむというのは好きじゃないですけど、一瞬でわかりあえるのは大事ですよね

「経験することの大きさを感じています。今まで乳がんもピンクリボン活動も一般的には知っていましたけれども、実際自分が関わってみると、
できるだけ早期に発見して、できるだけ長く自分らしく人生を送ってほしい、それは自分の体験を通して思うところなので、
そういう意味でも同じ経験をした人間同士分かり合える所は多々ありますね。
お節介と思われても、年に一度は乳がんの検診に行かなきゃって思って頂けるように、しつこく皆さんに伝えていきたいと思います。」

ーーがんになって学んだこと、できるようになったことは?気の進まない約束はしないとききましたが?

「はい、それは今もそうです。時間が一番大事じゃないですか。美味しいものから食べる、やりたいことからやる、会いたい人から会う、
その優先順位ははっきりしてます。
ごめんなさい時間がとれなくて、って言えるようになりました。正直に言えば相手も許してくれるんじゃないかなと。
楽観的に考えられるようになったら時間の使い方が変わりました。」

 

 

ーー睡眠時間はとれてますか?
クローバー果歩さん
「あまり睡眠がとれなかったんですけど、寝ないと元気が保てないので、
サプリに助けてもらって睡眠とるようにしてます。」

ーー1年前、リハビリをやってケアをしていたとのことでしたが、今は?


~オススメのオイル!~
「今朝もこの会場に入る前にパワーヨガをやってきました。

そこまで体力が戻ってきたのはありがたいことなんですけど、まず筋力アップですね。
低体温で、冷え症でした。がん細胞は体温が低いところで繁殖しやすい、

代謝をあげて冷え症を直すことが、再発予防の一つです。
食べ物は、がん細胞は糖質をとても好むので、

炭水化物を控えて、玄米や五分つきを食べています。


今まで知らなかったこと、自分の知らない日常が広がっていて、面白いインフォメーション、

いい情報をまわりの方がくださいます。
私もいい情報をどんどん発信していきたいです。
今日私がお伝えしたい情報は、

放射線治療をした後の患部に何か良いものがないかと色々試した結果、
オーストラリア産、精製していないエミュー鳥のオイルがすごくいいんです。
色素沈着した色とカサツキがやわらぎました。オススメです。

好奇心が強い方でしたが、命や健康、精神的安定、今はそういうものに向いています。
幸せは人と人との間に生まれるものだと思いますが、まずは、自分で自分を幸せにすること。
自分が幸せだなって感じるように自分をケアして、そういう自分で人と接する、

そういう自分で仕事をする、
すべて拠点になるのは私自身だと思っています。
よく病気と闘う、病気に負けるなと言う言葉を使うと思うんですけれども、結局がん細胞でいうのは自分自身の体内にある細胞の変形、自分の中から発症したもの
病気を受け入れるのは難しいことだと思うんですけれども、がんさえも受け入れる自分、がんを受け入れた後の自分は前よりも強く、自分らしい自分になれるじゃないかなという希望はもっています。前むきです。前のめりです(笑)
体温を上げて免疫力アップ、楽しいことがあったら笑う、一日に一度はお腹の底から笑うというのが大切かと思います。」



~がん=新しい人生 生きてることは素晴らしい~
クローバー果歩さん
「がんになったら、おわりではなく
そこからがスタートだと思います。そこからどうやって自分の人生を生きるかを試されているんだと思います。私の主治医の先生が仰ってたんですけれども、
今の標準治療も何年か前まで標準ではなかったと。(新聞の切り抜きを取り出す果歩さん)
これは金曜日の朝日新聞に載っていたんですが、国立がんセンターで、手術可能な乳がんかどうか見分けることが出来るようになったと。乳がん患者5パーセントは外科手術をせずに治療ができると。これこそが命のリレーだと思います。これまでの乳がん患者の皆さんの治療やデータなどが全て生かされてきて、少しづつ次の患者さんにバトンはリレーさせている。
こうやって、色んなタイプ別に分けられることで、ダメージの大きい外科手術を避けることができる・・・
がん=死 ではなく、がん=新しい人生 という風にとらえたい。がんを知った自分というのは経験していない自分より、遙かにたくましいし、もろい、その分人間らしくなっているんじゃないんかと思います。」

ーーそれは人間らしいですね。

「本当に生きていることは素晴らしいなって思います。
谷川俊太郎さんの「生きる」という詩がすごく好きなんですけれども、
ブランコが揺れるということそれも生きているということ、という・・・ブランコに乗っていなくても、揺れていたり、落ち葉が落ちていたり、時間を感じることが生きているということだと本当に思います。これまでも感情過多だったんですが、がんになって、ますます心のひだが増えてしまって楽しくてしょうがないです。」

ーーこれだけ(がんで)痛い思いしたんだから、お得なことがないとね。

「そうです!マンモなんか、への河童です。みなさんマンモもエコーも受けてください。
あんなの痛いうちに入りません。
できるだけ早期発見していただきたいし、

自分の中にがん細胞があっても元気に生きていらっしゃる方も沢山いるし、
それぞれ違ってそれぞれいいんだと思います。」

ーーそのフレーズ、金子みすずの詩のようですね(笑)

「本当ですね(笑)言葉の力は大きいと思います。
10月は陸前高田と気仙沼に、11月は去年も行った熊本益城町で、

ボランティアで絵本の読み聞かせをする予定です。
病院で絵本の読み聞かせをさせていただくと、大人の方、父兄の方、患者さんのお母様たちが涙を流してくださったりするんです。
小さい会場(保育園や、病院内)ですので30人から50人くらいなんですけれども、

絵本の中の言葉が、皆さんの今の人生と合致する瞬間があるんだと思います。
私が掲げているのは
1怒らない
2悲しまない
3嘆かない
悲しみを先取りするようなところ、女子ってあるじゃないですか、
予感を先行させて悲しんじゃうようなところ。
今悲しくないのに、先々、先取りして悲しまないようにしようと。
嘆くことはやめよう、今日が悪くても明日があるじゃないかと。

今日自分史上最悪な日と思っていても明日は最悪から2番目になっているはず。

怒らないというのも、少し時間を置くといいんです。怒りって1日経つと薄まるんですよ。
一日経って起きたら、怒りがちょっと薄口になってるんですよね(笑)
関西人なので薄口が好きです(笑)」

「今だに右胸の患部を見るとまだまだ続いてると思うし、定期健診はドキドキします。
それも含めて自分の日常だとやっと受け入れようというところまできました。
小池百合子さんが希望の党を作られましたけど、本当にいい言葉を選ばれたと思います。
希望、この二文字。どの人にも当てはまる、明日への思いにつながる。

小さな希望を積み重ねて行きたいですね。
そしてこうしてリーダーシップをとっていく女性は、心から応援したいです。」

ーーこれからの希望は?

「今、頑張って身体を鍛えているので、腹筋を鍛えてシックスパックにしてみようかなと!
来年のシンポジウムはヨガのポーズをしましょうか(笑)
ただ座っていても呼吸に気を付ける、
がん細胞は酸素が嫌いなので、がん細胞が成長しない身体づくりをしていきたいです。
では深呼吸をみなさんでしましょうか?
丹田に力を入れてカウントしますので、鼻から吸って口から出してください。
1.2.3 1.2.3 1.2.3.

(深呼吸を促す果歩さん、会場のみなさんと深呼吸)

ーー会場に酸素が満ちましたね。
クローバー果歩さん
「がん細胞が育たない環境、がんに勝つのではなく、負けないようにする、そういう身体に
していきたいです。
そして来年は腹筋をシックスパックに(笑)

読み聞かせのボランティアを被災地限定に細々やっていますが、もう少し広げて、行ったことのない県、
47都道府県すべてでできたらいいなと思います。
おとえほんという読み聞かせのCDをつくっているんですが、その日本の昔話を、英語でできたら楽しいんじゃないかなと
日本だけでなく、海外で子供たちに読み聞かせをできればと思います。

私の好きな絵本「ラヴ・ユー・フォーエバー」がありまして、こどもに子守唄を歌って育てているお母さんが、最後に子供に子守唄を歌ってもらう
その物語を読む度、息子に読み聞かせする度、涙を流していました。
息子にせがまれて、何度も読んでいました。
自分の好きな絵本を英訳して、日本語圏以外にも、好きな絵本と読み聞かせで、届けたいなという気持ちがあります。」

最後に、果歩さんからみなさんに「何か質問はありますか?」と問いかけると、

乳がんについての経験をお話していただき、投薬などについてのご質問から、

意見交換となりました。

あたたかい拍手に包まれ、ピンクリボンシンポジウム 2017 が閉幕となりました。

足をお運びいただいた皆さま、主催スタッフの皆さま、先生方、ブースの皆さま
果歩さんも、スタッフも、今年も参加させて頂いて心から感謝しております。
本当にありがとうございました。

 

大野真司先生(中左) 高野利実先生(左から二番目) 大西秀樹先生(右から二番目)

 

モモ妹ちゃんと

 

 

~ピンクリボンシンポジウム 2017 ブースのご紹介~


日本対がん協会 ピンクリボンフェスティバル

 

若年性乳がんサポートコミュニティ Pink Ring


 

認定NPO法人 乳房健康研究会


日本対がん協会 ビューティースマイルプロジェクト
 

一般社団法人 キャンサーフィットネス


特定非営利活動法人 ソシオキュアアンドケアサポート





(お写真は掲載の許可を得たものです)